「ある程度の時間、眠れていれば良い」とは限らない
「睡眠不足」と聞くと、まず「眠る時間が短すぎる」状況を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに寝付きが悪かったり、途中で目が覚めやすかったりすると、日中もぼんやりしてしまったり、疲れやすくなったりするものです。
しかし、実際には同じ時間だけ眠っていても、起床後の調子が良い時もあれば、疲れが取れずイマイチ……という時もあります。睡眠は眠る時間、いわゆる「量」だけではなく、ぐっすり眠れたかどうか、つまり「質」が重要なのです。眠っても疲れが取れないという方は睡眠の「質」に問題があるかもしれません。さっそく、快適に眠るポイントをご紹介していきましょう。
ポイント1:良い眠りには「体温」も重要
■睡眠中は「体温が下がる」のが望ましい
就寝中の体温は自然と起きている時よりも下がっています。一見、体が温まっているとよく眠れそうですが、実際は眠っても適切に体温が下がらなくなり、睡眠の質が落ちやすいのです。たとえば夏の熱帯夜になると寝苦しいのも、気温や湿度が高く、体温が下がりにくいことが関連しています。
■寝る直前は「入浴・食事と飲酒・激しい運動」を避ける
就寝直前に避けるべきなのは「入浴・食事と飲酒・激しい運動」の3つ。いずれも直後に体温が上がり、眠っても下がりにくくなってしまいます。
入浴は就寝1~2時間前までに済ませましょう。体を活動モードにしてしまう熱いお湯やサウナなどは控え、ぬるいお湯にゆっくり浸かってリラックスするのがおすすめです。
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食事や飲酒は起きているうちに消化がひと段落する、就寝3時間前までを目安に済ませましょう。寝酒は寝付きが良くなると感じるかもしれませんが、睡眠の質を下げるうえ、徐々に耐性がついて量が増えてしまうので要注意です。
筋トレやジョギングなどの激しい運動も就寝直前はあまり良くありません。ストレッチなどの軽い運動に留めましょう。ちなみに、夕方ごろある程度運動しておくと、就寝する頃にちょうど体温が下がってよく眠れます。
ポイント2:「光」とうまく付き合おう
■就寝前は「徐々に明るさを落として」
部屋がいつまでも明るいと、脳が興奮したままになり寝付きが悪くなってしまいます。「明るい部屋でも眠れる」という方がいますが、睡眠の質は決して良いとは言えないでしょう。部屋の灯りだけでなく、色温度が高い(青みが強い)パソコンやスマホのディスプレイ、TV画面なども脳への刺激になってしまいます。就寝1~2時間前には色温度が低い(赤みが強い)電球色の灯りに切り替え、徐々に明るさを落としていくのがおすすめです。
■就寝中は「必要最低限の明るさ」で
「真っ暗な部屋では眠れない」という方もいますが、就寝中は暗いほうが睡眠の質も高まります。天井近くの常夜灯や枕元のスタンドなど、目元に届く高さの灯りは暗めのものでも控えたいところです。
ちなみに、夜中にトイレに起きた時なども、部屋の灯りを全部点けてしまうとその刺激で目が冴えてしまいます。ベッドや布団から見えにくい位置に電球色のフットライトを用意しておくと、脳への刺激を控えながら安全に移動できます。
ポイント3:「気分」をぐっすり眠れるモードに
■リラックスして「心から安眠」できるように
「イヤなことは寝て忘れる」などとよく言いますが、実際は心配・焦り・驚き・怒りなどの感情が残ったまま就寝すると寝付きにくくなりますし、睡眠の質にも影響が出てしまいます。
カフェインレスの温かい飲み物を飲む、不安解消の効果があるアロマを取り入れる、など、リラックスできる就寝前の習慣を日ごろから見つけておき、布団に入ってからの考えごとはしないようにしましょう。習慣のひとつとして、睡眠の質を高め、就寝中の疲労回復を助けてくれるサプリメントなどを飲むのも良いでしょう。
就寝前におすすめの香りは、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
ちなみに、就寝前に「眠れないかもしれない」と心配することも悪影響を及ぼします。布団に入ったら時計を見るのは止めたいところです。どうしても眠れない時は、あまり部屋を明るくしない状態で一度起きてみて、見慣れている写真集を眺めるなど脳への刺激が少ない過ごし方で、眠くなるのを待ってみましょう。
■「脳への刺激」はできるだけ抑えて
脳への刺激になること、いわゆる「目が冴える」ような行動も就寝時にはできるだけ控えましょう。つい枕元にスマホを置いて、布団の中であれこれ見てしまいがちですが、情報と光、ダブルの刺激ですから良くありません。SNSなどの通知は見ないと決め、目に入らないよう就寝中は切っておくとなお良いでしょう。
ゲームをしたり、動画を見たりするのも脳が刺激されてしまいます。就寝前の読書を習慣にしている方は多いですが、途中まで読んで続きが気になったり、読み終えても頭の中で内容を反芻していたりすると、それが寝付きや睡眠の質に影響することがあるのです。
ちなみに「あまりぐっすり眠ってしまうと、朝起きるのが大変かも」という方はぜひ、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
忙しい時などはつい「寝る直前まであれこれ用事をこなして、布団に入ったらすぐ寝付いて……」と欲張ってしまいがちですが、睡眠の質を上げるためにはもっとゆっくり眠る支度をする余裕が欲しいところです。ここでご紹介した3つのポイントを参考に、ぐっすり眠ってスッキリと目覚める、快適なおやすみ時間を過ごしてくださいね。