パソコン、スマホ……現代の生活が反映された「巻き肩」
■「巻き肩」とは?
「巻き肩」は、左右の端が丸まった紙のように、両肩が体の前へ出て、上半身が内側へ巻いている状態を言います。肩が本来あるべき位置からずれたままの状態なので、肩甲骨が不自然に左右に広がり、筋肉に不自然な負荷がかかって、肩こり・首痛・猫背・腰痛などを引き起こします。
猫背も似たような状態ではありますが、猫背は背中全体が丸まっている状態を指します。
■「巻き肩」はなぜ起こる?
腕を自然にだらんとおろすと、肩の位置がずれていない方は、手のひらが体側へ向きます。一方、巻き肩の方の手のひらは後ろを向き、前からは手の甲しか見えません。これは、両肩が巻くことで腕や手も回転していることによります。
この「手のひらが後ろを向いている」姿勢ですが、実はパソコン操作などのデスクワーク、両手でタブレットやスマホを操作する際の利き手など、現代の生活で長時間、無意識にとられがちな姿勢でもあります。
特に現在の40代は、10代~20代の頃にインターネットが普及し、勉強や仕事、プライベートでもパソコンを長年使い続けてきた方が多い、いわばこの姿勢の“ベテラン世代”。もしかしたら自分でも意識しないうちに、巻き肩になってしまっているかもしれません。
■「巻き肩」チェックリスト
□だらんと腕をおろした際に手のひらが後ろを向く
□壁に背中をつけたり、仰向けになった際、肩が大きく浮いている
□猫背・ストレートネックいずれか、または両方の傾向がある
□横向きで寝るくせがある
□肩こり、首痛、腰痛などがある
「多く当てはまるから巻き肩だ」と断定できるものではありませんが、特に上の2つは巻き肩の状態そのものと言えますので、ぜひチェックしてみてください。
上記で挙げた猫背やストレートネックについても、以下表を参考にしながら、当てはまるかどうかチェックしてみてください。
今日からできる「巻き肩」対策法
マッサージを受けたり、体を温めて血行を良くしたりすれば一時的にはラクになりますが、根本的な解決にはなりません。ここでは姿勢を改善して、巻き肩そのものから脱するための対策をご紹介します。
■仰向けで眠る習慣をつける
横向きに寝ると、枕の高さと肩幅が合わなくなりがちです。そこで頭と枕の高さを合わせようと、巻き肩の姿勢をとってしまいます。そのまま眠ると、巻き肩の姿勢を長時間キープすることになってしまうのです。
就寝時に気をつけるのがまず第一歩ですが、あまり意識すると寝付きに影響しますから、これまでより少し高め・固めの枕を取り入れる、仰向け姿勢を保ちやすいU字型の抱き枕を取り入れるなど、寝具を見直しても良いでしょう。
■手のひらを前に向けてウォーキング
巻き肩の姿勢のまま歩くと、体の回転やてこの原理で腕や肩には余計に内巻きの力がかかります。そこで、歩く際は手のひらを前に向け、腕を自然に振りながら歩くことで外巻きの力をかける習慣をつけていきましょう。実際に歩くのに加えて、室内などで立ったまま歩く時のように腕を振るだけでも効果が期待できます。
■肩甲骨周りや胸を伸ばすストレッチ
タオルを使ったストレッチ
両手でタオルを持って行う「タオルストレッチ」にも、巻き肩改善につながる運動があります。
イラストのように両手で持ったタオルを背中へ回し、お風呂で背中を洗う時のように両側へ動かします。
右上⇔左下、左上⇔右下、肩のあたりで左⇔右と、肩甲骨の周りの筋肉を意識しながらいろいろな角度で動かしてみましょう。
道具を使わないストレッチ
仕事や家事の合間に、道具を使わずできるストレッチもご紹介しましょう。まず壁に向かって左向きに、足を前後に開きながら立ち、右腕を肩の高さまで上げ、壁沿いに後方へ伸ばします。そのまま上半身をイラストのようにひねり、右胸を伸ばします。逆側(右向き&左腕)でもやってみましょう。
「姿勢が悪い」というと、猫背やストレートネックなど体の中心を意識しがちですから、「肩がずれている」可能性を知って驚いた方もいるかもしれません。ここでは初歩的な対策をお伝えしましたが、これをきっかけに、ぜひ巻き肩改善に取り組んでみてくださいね。
また、長時間のパソコンやスマホでの作業で凝り固まった肩を改善するストレッチについてもご紹介していますので、ぜひ以下記事をご参考にしてみてくださいね。