なぜ1月7日に七草粥を食べる?
■中国から伝来した無病息災を願う風習
中国では古来、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)を由来とする季節の節目「節句」があり、それらは奈良時代に日本へ伝わりました。多くの節句があったなかで、江戸幕府が公的な祝日として制定したものが「五節句」で、上巳の節句(ひな祭り)、端午の節句(子どもの日)などがよく知られています。
1月7日はその「五節句」のひとつ、「人日(じんじつ)の節句」の日。もともと中国では、7種類の野菜を加えた汁物を食べて無病息災を願う風習がありましたが、これが日本国内の風習と融合するなどして、室町時代には現在に近い、7種類の野菜・野草をお粥に仕立てて味わう形になったと見られています。
■美容と健康にも役立つ、理に適った行事食
実は七草は、「夏の七草」、「秋の七草」など季節ごとに顔ぶれが違い、七草粥に入れるのは「春の七草」と呼ばれる7種類。健胃作用に優れた野菜・野草が揃っています。年末年始は会食などでぜいたくな食事をする機会も多く、飲みすぎや食べすぎになりやすい時期。春の七草にはビタミンやミネラルなど、健康的に美しくなれる栄養素もたっぷり。七草粥は縁起が良いだけでなく、消化の良いお粥と栄養豊富な野菜・野草で、疲れ気味の胃腸を休められる食事でもあるのです。
続いては、春の七草の健康・美容にうれしい成分について見ていきましょう。
七草の美容・健康パワーを知ろう
■セリ
独特の香りが好まれ、おひたしでよく食べられています。また、仙台では「セリ鍋」も有名です。抗酸化作用に優れたβカロテンやビタミンCをたっぷり含んでいます。
■ナズナ
「ぺんぺん草」の呼び名でも知られる野草。ビタミンやミネラル、鉄分が豊富で、貧血になりやすい方におすすめです。
■ゴギョウ
古い呼び名である「ゴギョウ(御形)」に加え、「ハハコグサ(母子草)」とも呼ばれます。咳やのどの痛みを和らげると言われています。
■ハコベラ
古い呼び名である「ハコベラ」に加え、「ハコベ」とも呼ばれます。生薬として古くから用いられ、むくみ緩和などが期待できるとされています。
■ホトケノザ
キク科の野草で、高血圧予防や健胃などが期待できるとされています。同名のシソ科の野草もありますが、そちらは毒草で食用できませんのでご注意くださいね。
■スズナ
野菜のカブの別名で、胃を整える消化酵素を豊富に含んでいます。葉には体内の余分な塩分を排出するカリウム、貧血を防ぐ働きが期待できる葉酸などが含まれます。
■スズシロ
野菜の大根の別名で、美容成分である食物繊維やビタミンCが豊富。カブと同様、消化酵素を豊富に含んでいて、葉も栄養価が高く、カルシウムやβカロテンなどが含まれます。
年末~1月7日頃には店頭で春の七草を見かけます。生の状態で7種類揃っているのはこの時期くらいで、なかなか手に入りにくいものですが、フリーズドライ加工された七草であれば入手しやすく、調理も簡単です。
七草粥からお粥温活を始めよう!
■七草以外のお粥でもキレイになれる!
1月7日だけ七草粥を食べれば、美容効果が出るというものではありません。しかし習慣的に食べるには、具材が手に入りにくいので、難しいところです。
春の七草に限らず、お粥に合う食材には美容効果が高いものがたくさんあります。これを機にさまざまな具材でお粥温活を始めてみませんか?
最後にお粥温活におすすめの具材、味付けをご紹介しましょう。
■サツマイモ
美容成分のビタミンCは水に溶けだしやすく、熱で壊れやすいのが弱点。しかし、サツマイモのビタミンCはでんぷんで守られているので、加熱で壊れにくいのです。お肌を健やかにする食物繊維もたっぷり摂れます。
■小松菜
野菜のなかでもカルシウムが多い小松菜は、抗酸化作用に優れたβカロテンも豊富。アク抜きせずに食べられるので、調理しやすいのもポイントです。1cm程度にカットすれば、しゃきしゃきした食感は残したまま、スプーンやレンゲでも食べやすくなります。
■トマト
一見、生食するほうが効率良く栄養が摂れそうですが、実は抗酸化作用に優れたトマトの成分「リコピン」は、加熱して食べることで吸収率が高まります。トマト自身の豊富なうま味成分が良い働きをするので、洋風の味付けだけでなく、味噌や醤油にも合います。
■カレー粉
カレーのスパイスには代謝アップやむくみ解消など、さまざまな健康美容効果が期待できます。油分が多いルーでカレーを作るより、お粥をカレー粉で味付けするほうがヘルシーに取り入れられます。
■練りごま
中華粥は中華だし、鶏がらスープ、ごま油など味付けがマンネリ化しがち。練りごまで、お粥にコクとごまの栄養をプラスするとバリエーションが広がります。担々麺のような辛味も合いますよ。
■小豆
小豆粥はおしるこやぜんざいのように甘く味付けしないので、小豆の豊富な栄養を摂りながら、砂糖を控えることができます。小豆について詳しくは、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
お粥温活といっても、毎日米からお粥を炊いたりしなくてOK!前の日炊いた残りご飯と水を火にかけ、沸騰したら鍋の蓋を開けて10~15分煮る作り方でも、「入れ粥」と呼ばれる立派なお粥になります。自分に合った作り方や具材で、楽しくお粥温活に取り組んでみてくださいね。