収納や片付けが苦手な人にはどんな特徴がある?
まず、収納や片付けがなぜうまくできないのか、苦手な方の特徴から探っていきましょう。
■まず収納用品を買おうとしてしまう
「棚や箱などの収納用品を用意して、そこにモノを収めれば片付くはず」と考え、収納用品を買うところから始めてしまう方は多いのではないでしょうか?しかし、先に「どこに・何を・どれだけ・どう収めるか」が把握できていないと、「用意した収納用品にモノが収まり切らない」、「収納したものが取り出しにくく出しっぱなしに」といったミスマッチが起こり、また散らかってしまいます。
■探しものや重複買いが増えて損をしがち
モノが多くなるほど「どこに何があるか」を把握しきれなくなるので、いざ必要な時に見つからず時間をかけて探す羽目になりがちです。見つかればまだしも、探しきれないと同じものを何度も買うことになってしまいます。時間や金銭面で損をするのはもちろん、整理整頓ができていない自分を責めてしまうことも多く、メンタル面でも損をしがちと言えます。
■「あらゆるモノを減らさなければ」と考えて踏み出しきれない
収納や片付けが苦手な方は、自分にとって必要なモノも、さほど重要でないモノも全部同じように抱え込んでいることが珍しくありません。それだけに、収納や片付けをする際「あらゆるモノを減らさなければならない」と考えて、二の足を踏んでしまいやすいのです。
でも実際には、不要なモノさえ適切に減らせば、その分だけ必要なモノや、大切にしているモノを収納する場所が増え、もっと余裕をもって扱えるようになります。
■「人に見せるわけじゃないし……」と油断してしまう
「オフィスの机は片付いているけれど、自宅や自室は散らかりがち」という方も案外多いもの。人に見られることを意識しなくて良い、自分や家族だけのスペースは快適なものです。しかし、油断してしまうと収納や片付けもつい先延ばしにしてしまい、その間にもモノが増えてどんどん散らかってしまいます。
■年齢を重ねると徐々に収納や片付けのハードルも上がる
実は年齢を重ねることでも、収納や片付けが苦手になっていきます。たとえば、手が届きにくい所が増えて、そういった場所の整理整頓がおっくうになる、記憶力が徐々に心もとなくなり、戸棚の中など「見えないところに何があるか」を記憶しきれなくなるなど……だからこそ、これからの人生の中で一番若い「いま」から片付けや収納がうまくいくようにしておきたいものです。
考える順番は「整理・収納・片付け・掃除」の流れ
続いては、実際に収納や片付けに取り組むための考え方・順番について見ていきましょう。
■「整理」、「収納」、「片付け」、「掃除」……ちゃんと区別できている?
意識していないと「キレイにする」という目標だけでひとまとめにされがちなこの4つですが、図のように本来はそれぞれ違う作業。これを理解して、順序通り取り組むことが重要です。
まず持っているモノを「整理」することで内容や量が把握できる
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どこに何を使って「収納」したら良いかわかる
↓
「収納」が適切であれば、ストレスなく「片付け」ていくことができる
↓
片付いた後は「掃除」もしやすくなる
■収納や片付けで最重要なのは、まず「整理」すること
モノを「整理」するというのは、1つ1つのモノが持ち主にとってどんな存在か改めて把握することでもあります。まずは片付けたい場所に入っているモノを全部出してみるなどして「いまある量を把握する」ことから始めてみましょう。
次に、残しておくモノ、捨てるモノなど「ルールを決めて分ける」作業、さらに、後述する内容などを参考に「持っておく量」を決め、残しておくモノを厳選していきます。
■収納用品はモノの「持っておく量」と「置き場所」を決めてから
残しておくモノの量が見えてきたら、次は「どう収納するか」です。後述する内容などを参考に、モノの「置き場所」を決めましょう。ここで初めて、モノの量や置き場所に適した収納用品を探すことができる段階になります。まずモノと向き合って考えることがファーストステップとなるのです。
収納や片付けの前に「モノと向き合って考える」
さらにモノと向き合う方法、つまりモノの把握や分類、持っておく量や置き場所を決めるための具体的な考え方を見ていきましょう。
■「いる/いらない」ではなく「使っている/使っていない」で分ける
収納や片付けの苦手な方は、「いる/いらない」という極端な二択でモノを分けてしまうことがよくあります。まだキレイ、捨てるのはもったいない、取っておけばいつか使うかも……と「いる」理由が次々に思い浮かんで、気づけば「いる」モノばかりになってしまうのです。
そこでおすすめなのが「使っている/使っていない」で分ける方法です。それもたとえば「1年以内に使っている/使っていない」といった風に、ある程度の期限を設けましょう。冠婚葬祭に必要なモノなどの例外はありますが、1年袖を通さなかった普段着などは、大抵その後も手が伸びないものです。この基準なら、自分の「感情」ではなく、モノの持っている「実績」で判断できるようになります。
■さらに使う頻度で分けて「置き場所」を決める
毎日のように使う鍋が、めったに使わない大きなボウルの奥に仕舞われていたら、使いもしない大きなボウルを避けて鍋を出す作業が毎日発生してしまいます。こう聞くと「そんな無駄なこと、するわけない」と思ってしまいますが、本人は気がついていないだけ……という場合も。「よく使うもの」と「たまにしか使わないもの」をしっかり区別せずに収納している方は意外と多いのです。
そこで「使っている」モノは、「使う頻度」でさらに分類して、それに応じた置き場所を決めていきましょう。毎日のように使うものは手に取りやすい/しまいやすい場所に、たまに使うものや、使わないけれど処分できないものは奥に置くようにすれば、使う時だけでなく、片付ける時の動線も効率的になります。
■最難関にしてハマりやすい!「思い出の品」は後に回して
アルバム、記念品、子どもの作品など、思い出の詰まった品は「使っている/使っていない」では判断しきれませんから、「思い出(思い入れがある)として取っておきたい/さようならしてもいい」で分けます。それだけに整理するにも時間がかかりやすく、整理収納のプロから見ても「最難関」と言えます。しかも、こうした思い出の品の整理は、片付け初心者がまず手を付け、迷って手を止めてしまいがちなのです。
収納や片付けの途中で挫折しないためにも、まず「サクサク整理できる」ところから着手していきましょう。整理している途中でも、「判断する作業がしんどい」と感じるモノにあたったら、まず脇に置いてほかの整理を進めてしまいましょう。
「モノを整理する前に収納用品を買ってしまっていた……」、「最初に推しグッズから片付けようとするから途中で止まっちゃうのか!」など、思い当たる方も多かったのではないでしょうか?
次回の後編では、まず着手するのにおすすめの「整理しやすいモノ」や、「途中で投げ出さないためのコツ」など、実際に収納・片付けに取り組むためのノウハウをお伝えしますので、ぜひチェックして、収納・片付けに活かしてくださいね。
- ●監修者
水谷妙子(みずたにたえこ) -
整理収納アドバイザー1級。3児の母。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務め、手がけた商品は500点超。現在は、片づけ講座、雑誌、テレビ、書籍などで情報発信やコラボ商品開発を行っている。