「ペットボトル温灸」とは?お湯とペットボトルで手軽にお灸
「ペットボトル温灸」とは、お湯を入れたペットボトルを使用したセルフケアの方法です。従来のような火を使うタイプのお灸よりも安全・かんたんで、特別な道具もいりません。
■ペットボトル温灸のうれしいポイント
ペットボトル温灸をおすすめしたい理由はほかにもたくさん!以下にご紹介します。
・火を使わない、煙も出ない。
・火がついていないので、頭や顔、足の裏、肘や背中のツボにも安心して当てられる。
・ピンポイントでツボをねらう従来のお灸とは異なり、ペットボトルは肌に接する面が広いため、「だいたいこの辺り?」という場所に当てれば大丈夫。
・従来よりもツボに当てやすいので、初めての方でも効果を感じやすい。
・使い捨てのペットボトルとお湯だけなので、コスパが抜群!
「ペットボトル温灸」の基本ルール
より安全に、効果的に活用できるよう、「ペットボトル温灸」の基本ルールをおさえておきましょう。後ほど、女性に多い不調に効くツボをご紹介しますが、すべて基本ルールと同じ当て方でOKです。
■基本ルール
1:後でご紹介する「適温のペットボトルの作り方」を参考に、お湯の入ったペットボトルを用意します。
2:ねらいたいツボの周辺に、ペットボトルを押し当てましょう。底、カド、側面など、自分が当てやすい部分を使ってみてください。
3:“「アチッ」と感じたらすぐ離す”をリズミカルに繰り返します。1ヵ所あたり3〜5秒、3~5回が上限です。
■POINT
・冷え性の方、あるいは皮膚の厚いところは、「アチッ」と感じにくいことがありますが、何度か繰り返すことで熱さを感じるようになります。
・やけどしないように、長時間あてっぱなしにしたり、高すぎる湯温を使うのは避けましょう。当てる時間をごく短時間にして、行ってみてください。
温度計なしでOK 適温のペットボトルの作り方
「ペットボトル温灸」で使用するお湯は70~80℃ですが、温度計がなくても大丈夫!まずは、ホット飲料専用(オレンジのキャップが目印)、またはHOT&COLDと書かれたペットボトルを用意します。
ペットボトルに水道水を全体の1/3ほど入れてから、残りの2/3に熱湯(ボコボコと大きな泡が立つ前の、沸騰直前のお湯)を入れれば適温です。ペットボトルが熱くなりすぎないよう、先に水を入れるのがポイント。20〜30分程度は適温を保って使用できます。しっかりフタを閉めて使いましょう。
コールドドリンク用のペットボトルは、温かいものを入れる前提で作られていないので、ボトルが溶けたり柔らかくなったりするリスクがあります。また、コンビニや自販機で買える金属製のボトル缶は熱伝導率が高いため、肌に当てた時に熱すぎます。どちらも使わないようにしましょう。
まずはここから!お悩み別ツボガイド
基本ルールと適温のペットボトルの作り方をおさえたら、さっそくツボに当ててみましょう! 今回は、女性に多いお悩みを中心に、おすすめしたいツボを3つ挙げました。
ちなみに、全身のツボの数はなんと361穴(WHO認定)もあります。発案者の若林先生の著書『安心のペットボトル温灸』では、先生おすすめの症状別・体質別のツボ、体質の見極め方、効果的な養生法など、心と体を労る方法がボリュームたっぷりで解説されています。あなたのお悩みに効くツボや暮らしのヒントがきっと見つかりますよ♪
■見つけやすい万能ツボ「合谷(ごうこく)」
手の甲側のツボで、親指と人さし指の交わる間にあり、押すと圧痛があります。痛みを伴うさまざまな症状によく効きます。緊張を和らげて、気持ちを落ち着かせる効能もあり、見つけやすくて万能なツボです。
頭痛、首・肩こり、花粉症、歯痛、ストレスなどの症状におすすめ。
■ほてりにも冷えにも、婦人系の悩みに「三陰交(さんいんこう)」
手の指を4本そろえて、内くるぶしの一番高いところに小指をおいて、人さし指が当たっている場所。すねの骨の後ろ側のふちにあります。更年期の諸症状をはじめ、女性特有の不調全般に用いられるツボで、日々の健康維持にも役立ちます。
ほてり、のぼせ、冷え、月経痛、ひざの痛み、じんましん、不安や落ち込み、倦怠感などの症状におすすめです。
■下半身の冷え・不眠・ストレスに「湧泉(ゆうせん)」
足の裏にある、人さし指と中指の中間で、つま先からかかとまでの1/3のところにできるくぼみです。泉から水が湧くように、体力や気力を生み出すツボとされています。
疲労回復、スタミナ回復、おなかから下の冷え、倦怠感、ストレス、不眠などの症状におすすめです。
大人女性にはよくあることと見逃さずに、不調を感じたら早めのセルフケアが肝心です。暴飲暴食をしない、しんどい時は横になる、湯船にしっかり浸かるなど、一つひとつは大きなことではありませんが、心と体はそうしたことの積み重ねに影響を受けています。そうしたセルフケアのひとつに、ぜひ「ペットボトル温灸」を加えてみてくださいね。
- ●監修者
若林理砂(わかばやしりさ) -
臨床家・鍼灸師。1976年生まれ。高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学第二文学部卒(思想宗教系専修)。2004年にアシル治療室を開院。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラとブラジリアン柔術。著書に『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)、『安心のペットボトル温灸』(夜間飛行)、『決定版 からだの教養12ヵ月――食とからだの養生訓』(晶文社)など多数。
noteマガジン「きょうの養生」:https://note.com/lisawaka/m/m4b657f154f9d
X(旧Twitter):@asilliza