「ウロギネコロジー(ウロギネ)」って何?
■「ウロロジー(泌尿器科)+ギネコロジー(婦人科)」で「ウロギネコロジー」
ウロギネコロジー(ウロギネ)は、英語の「ウロロジー(泌尿器科)」と「ギネコロジー(婦人科)」を組み合わせた言葉です。主に婦人科の医師が、女性特有の「骨盤底筋(骨盤の底の筋肉)が弱ることで起きる不具合」、たとえば子宮や膀胱が下がってきて膣から出てしまう症状や、尿もれ、頻尿などを診察する専門領域のことを言います。
産婦人科とはどう違うの?
■ウロギネは産科にも、婦人科にもなかった診療領域
女性に特有の診療科といえば、まず産婦人科が思い浮かぶかもしれません。しかし、産科は主に妊娠・出産に携わる領域を、婦人科は主に婦人科検診、卵巣がんなど婦人科のがん、子宮に関わる病気などを診ていて、ウロギネの「骨盤底筋が弱ることで起きる不具合」は、実はどちらにも当てはまらないのです。
■「ウロギネ科」を設置する医療機関が増えてきた
ウロギネ科が登場するまで、こうした「骨盤底筋が弱ることで起きる不具合」をまとめて診てもらえる診療科はなく、症状に応じて泌尿器科や消化器外科などさまざまな診療科で診られていました。しかし高齢化が進むにつれ、こうした不具合を抱えるケースも増えるようになり、泌尿器科と婦人科の境界を越えてこうした不具合を診る「ウロギネ科」を設置する病院が増えてきたのです。
■泌尿器科や婦人科で相談しても◯
増えてきたとはいえ、まだまだ「どこにでもある」とは言えないウロギネ科。もし、こうした不具合の相談をしたいけれど、近くの医療機関にウロギネ科がない場合は、まず女性に対応している泌尿器科や婦人科で相談してみましょう。特に「女性泌尿器科」を掲げている医療機関であれば、診療内容はウロギネ科に近いと考えて良いでしょう。
ウロギネ科で診られている主な病気は?
最後に、ウロギネ科で診られている主な病気についてご紹介しましょう。ただし、ここでご紹介するのはあくまで一般的な情報です。気になる症状と一致していても、自己診断で病名を決めつけたりするのは避け、早めに医療機関で相談するようにしましょう。
■腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)
骨盤底筋の中には、尿道を閉めておく筋肉「尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)」も含まれます。腹圧性尿失禁では、骨盤底筋が弱ることで、咳やくしゃみをした時など、おなかに力が入った時に尿が漏れてしまう症状が見られます。女性の尿失禁の中で最も多いとされていて、年齢を重ねたり、出産を経験したりすることをきっかけに症状が現れたりします。
■過活動膀胱(かかつどうぼうこう)
過活動膀胱では、急に尿意をもよおしたり、度々トイレに行きたくなったりする症状が見られます。これは骨盤底筋が弱ることで、排尿のメカニズムがうまく働かず膀胱が過敏になるためで、本人の意思や、尿が十分にたまっているかどうかとは関係なく膀胱が収縮してしまうのです。
■骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)
骨盤臓器脱では、子宮、膀胱、尿道、小腸、直腸などの臓器が体内で徐々に下がってきたり、膣から体外へ出てしまったりする症状が見られ、排尿や排便に影響が出たりします。これは、骨盤底筋が弱ることで、骨盤内にある臓器を支え切れなくなって起こるとされていて、「性器脱」、「膣脱」とも呼ばれます。
こうした不具合は「年を重ねて弱った結果なのだから仕方がない」などと考えられがちですが、たとえば骨盤底筋は専門的な体操やトレーニングで鍛えることもでき、尿もれの予防や改善が望めるとされています。
最初から諦めずに、まずは専門家に相談してみることが、QOL向上にもつながるはずですよ。