肌が弱い方も安心 心と体を癒やす「単純温泉」
単純温泉は日本で最も多い泉質で、効能も温泉地によって少しずつ異なっています。この泉質の良いところは、なんと言ってもクセがなく(無色透明・無味無臭)、年齢や肌質を問わず入浴しやすいことです。お湯が柔らかいことも入りやすい点で、なかでも「アルカリ性単純温泉」は、“美肌の湯”と呼ばれ女性に人気です。
※温泉の効能は、肩こりや疲労回復といったどの温泉にも共通する「一般的適応症」と、泉質独自の「泉質別適応症」があります。(以下同様)
とろとろの湯で肌をなめらかに「炭酸水素塩泉」
美容液のようなとろみのある「炭酸水素塩泉」は、皮脂や毛穴の汚れをやさしく落とすクレンジング効果があり、「美肌」、「切り傷・やけど」、「じんましん」など、お肌に関する効能が多いのが特徴。湯のあたりはとろとろですが、クレンジング効果のおかげで入浴後はさっぱりします。皮脂洗浄の効果が高いため、入浴後の保湿ケアはいつもより念入りにしてくださいね。
また、水分や栄養分が入りにくい状態となってしまったお肌を整えるための保湿ケア(おすすめの化粧水のつけ方)もご紹介しています。
肩こりや末端冷え性は「塩化物泉」でじんわりほぐす
無色透明で、塩からさのある温泉は「塩化物泉」。肌に付着した塩分が汗の蒸発を防ぐので、保温効果が抜群で、“熱の湯”とも言われています。文字通り「芯まであたたまる」お湯です。塩分の刺激があるので、敏感肌の方はこちらよりも単純温泉のほうが安心かもしれません。
また、温泉に何度も入ることで、数日後にだるさなどの体調不良が起こることを「湯あたり」と言いますが、「塩化物泉」は湯あたりしにくいことも特徴。温泉宿にこもって、何度も温泉に入りたい方はこの泉質がおすすめです。
温泉をとことん堪能する入浴方法
温泉地選びは施設の充実度やアクセスの良さも気になるところですが、前述の通り、より効果的に温泉を楽しむなら泉質を規準のひとつにして探してみる良さそうですね。
また、温泉を楽しむためには、安心・安全な入り方の知識も必要。ここでは温泉を楽しむためのいくつかのポイントをご紹介します。
■入浴前・中・後に水分補給
水分補給のポイントは「喉が渇く前に飲む」こと。入浴前の水分補給は、発汗による脱水症状や、血圧上昇によるさまざまな事故を防ぐ役割があります。入浴前・入浴後、できれば入浴中にも、少量ずつこまめに飲んでくださいね。
■「かけ湯」で体を慣らしておく
入浴前に汗や汚れを流す「かけ湯」はマナー面だけでなく、お湯の温度に体を慣らして急激な血圧上昇を防ぐという安全対策でもあります。足首・ひざ・腰、次に手首・腕・肩、最後に胸と、心臓に遠い部位から順番にかけ湯をしましょう。
■温冷浴の「冷」は、ぬるま湯で体を慣らしてから
近年のサウナブームを発端に、温かいお湯と水風呂に交互に入る「交互浴」が注目されています。疲労回復や筋肉痛の緩和に優れるとされる「交互浴」ですが、いきなり冷たい水風呂に入るのは人によっては危険が伴います。湯船から出たら、まず(1)ぬるめのシャワーを全身にかけて(2)水風呂の水を「かけ湯」の手順でかけて、(3)水風呂に入るようにすると安心です。
■泉質によっては、温泉浴ができない症状も
皮膚疾患のある方は、泉質名だけでなく、ホームページなどで公開されている成分や禁忌症もチェックしておくと安心です。また、本記事では紹介していない泉質ですが、殺菌効果の高い「酸性泉」や、硫黄の香りが特徴の「硫黄泉」は、皮膚や粘膜が敏感な方、高齢者で皮膚乾燥症の方は入ってはいけないとされています。
※参照
環境省 平成31年8月 『あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは わたしたちは温泉に入るとき、温泉を飲むとき、どんなことに気をつければよいの?』
外出せずに温泉を堪能できる「温泉の素」も
硫黄や湯の花が配合された「温泉の素」は、自宅にいながら本格的な温泉を楽しめるアイテム。実際の温泉そのものとまではいきませんが、香りや色、肌ざわりで温泉気分を味わえます。市販の「温泉の素」には、“医薬部外品”と“化粧品”の2種類があり、有効成分がより多く含まれているのは“医薬部外品”のほう。商品のパッケージに必ず分類が記載されているので、温泉の効果を期待するならぜひチェックしてみてください。
また、「温泉の素」のなかには浴槽に入浴剤の色がついてしまうものがあります。浴槽の着色は、湯上がり時にすぐお湯を抜き、すぐ水洗いをすることで防げます。
温泉はただ入るだけでも心地良いですが、効能を知って泉質を選べば、より温泉の底力を実感できるはず。体にやさしい入り方を心がけて、美肌や冷え解消を目指しましょう!