梅雨・低気圧の不調は「ずっしり重い」
梅雨・低気圧が原因で起こる不調、そのキーワードは「ずっしり重い」です。雨天が続くことで体内の水分代謝がうまくいかない、気圧の変化に内耳や自律神経が過敏に反応するなどが、不調の理由と考えられています。
■水はけの悪い場所が、不調の場所に
低気圧の不調の多くは、余分な水が溜まる場所に現れます。たとえば、余分な水が消化器系に溜まるタイプはおなかを壊したりガスがたまりやすくなり、頭に溜まるタイプなら頭痛に、筋肉や関節に溜まれば肩こりや関節の痛みといった症状を引き起こします。どこに水が溜まるかは、その人のもともとの体質も関わっているので、人によって不調の現れ方が違います。
■こんな症状、梅雨・気圧が原因かも?
・体や頭が重だるい
・肩こり、関節の痛み
・むくみ
・おなかにガスがたまる
・トイレの回数が多い など
こういった不調に対する改善のカギは「余分な水分を溜めない」のと「冷やさない」こと。ここからは具体的な対策をみていきましょう!
体の冷えを直接温める!
体を冷やすことで溜まった水分も冷えて、症状をさらに進めてしまいますから、梅雨の時期であっても体を冷やしすぎないことが大切です。ジメジメ暑い季節にはバテないようにエアコンは使うべきですが、快適だと感じていても感覚以上に体は冷えています。こうした時期に物理的に体を温めてあげることは即効性がある養生法です。
■梅雨でも夏でもおすすめ!湯船や足湯で体を温める
足湯は体に負担をかけずに長湯ができ、たし湯をしながら20分ほど入れば、体全体がじんわり汗ばむほど温まります。バケツやフットバスを用意すれば、リビングなどでも気軽にできます。また足湯は、梅雨はもちろん、エアコンがフル稼働する夏にもおすすめです。手足が一年中冷えているという方は、季節に関係なく実践してみてください。
この方法は、慢性病・冷え性・低体温症・自律神経失調症・不眠症などにも効果的です。
■睡眠時や日中も意識するように
眠っている時には、知らないうちにふとんをはがしたり寝汗をかいたりするので、冷やさないようにパジャマは長袖・長ズボン、ガーゼや綿と麻が混ざった素材がおすすめです。関節が重だるい方や肩こりをお持ちの方には特に睡眠中の冷えに注意してください。
また、エアコン(冷房)を使う季節は特に、首・手首・足首を冷やさないよう注意しましょう。肩と首を温めると、血流が良くなり水分代謝も促すため、肩こりの改善につながります。蒸しタオルや温熱シートを取り入れたり、薄手のカーディガンやひざ掛け、アンクルウォーマーなどを活用したりしてみてください。おなかがゆるくなる方は、薄手の腹巻きを使うなど体幹も温めるようにしましょう。
梅雨・低気圧におすすめの食材
体の余分な水分を取り除く食材や、体を温める薬膳食材を積極的に摂りましょう。たとえば、体の水はけを促すはと麦、温めるシソ、温めて発汗させる生姜や長ネギなど。お肉ならおなかを温めて胃を健やかにする鶏肉がベストです。胃腸の冷えには長芋もおすすめです。長芋は「山のウナギ」の異名をもつスタミナ食材ですから、梅雨の時期にたくさん食べておけば、この先、夏バテもしにくくなります。
反対に、食欲がない時にアイスコーヒーやサラダ、冷麺といった冷たいものばかり食べると、ますます冷えが進んで胃腸が弱ります。味の濃い焼き肉やウナギは胃腸が元気なら大丈夫ですが、すでに弱っている体にはおすすめできません。「夏バテにはまだ早い」と油断せず、優しい味付けで温かいものを食べるようにしてみてください。
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“1分 耳マッサージ”で血流促進
梅雨どきに限らず気圧の変化に弱い方は、内耳や自律神経が過敏に反応していることが原因と考えられます。気がついた時に耳をマッサージして、内耳の血流を促しましょう。予防にも改善にも効果的です。
■低気圧不調に「耳マッサージ」の手順
1:両耳をつまんで、上に5秒、下に5秒、横に5秒引っ張る。
2:両耳を軽く引っ張りながら、ゆっくりと後ろに向かって回す。これを5回繰り返す。
3:上の2つを1分くらい繰り返す。
低気圧不調に用いられる漢方薬
どうにもつらい時には、ドラッグストアで手に入る漢方薬に頼ってみるのも一案です。薬剤師やかかりつけ医に相談しながら、うまく取り入れてみましょう。
■五苓散(ごれいさん)
「五苓散」は体の水はけを促す漢方です。むくみ・頭痛・下痢・暑気あたりなどに用いられます。口の渇きや尿量が減少した方に適した処方です。尿量が多い方には不適です。
■葛根湯(かっこんとう)
カゼの処方薬としておなじみの「葛根湯」は、病院でも頭痛や肩こりに処方されるお薬です。体を温めることで、頭痛・肩こり・首のこわばりを緩和します。こちらは体力のある方に適応するので、体力虚弱・胃腸が弱くおなかを壊しやすいといった方には不適です。
■自己判断のみで常用しないようにしましょう
漢方薬は副作用が少ないイメージですが、その人の状態に合っていないと悪化させることがあります。たとえば「葛根湯」は体を温める処方なので、寒気からくるカゼや、冷えが原因の症状にはよく効きます。しかし、喉が赤い・熱っぽい(実際の体温ではなく体感として)といった「熱」イメージの症状に用いれば、「熱」をさらに温めてしまって逆効果です。
まずはかかりつけ医や薬剤師に相談し、自分の状態に適しているかを確認しましょう。
ここでご紹介した方法・対策は、なんだか調子が悪い状態、いわば健康と病気のはざま(未病といいます)にとても効果的です。病気になる前に対処すると調子が戻るのも早いですから、今日から試してみてください。ニュースでは毎年のように「猛暑です」といわれています。来たる夏に備えて、体の調子を万全にしておきましょう!