秋の夜長のクラシック、なにを聴けば良いの……?
■そもそも「クラシック」とは?
日本では「クラシック」だけで音楽ジャンルを指すことも珍しくありませんが、本来の「クラシック」の意味は「古典的な、伝統的な」といったもの。生み出された時は「新しい音楽」だったわけですから、長い年月を経たのちに「クラシック」となったのです。
現在、一般的には主に西洋の伝統的な作曲技法や、演奏形式を用いた音楽が「クラシック音楽」と呼ばれます。時代によって分類されますが、なかでも有名なのは、バッハやヴィヴァルディの「バロック音楽」、モーツァルトやベートーヴェンの「古典派音楽」、ショパンやシューベルトの「ロマン派音楽」、ラヴェルやドビュッシーの「近現代音楽」などでしょうか。さらに管弦楽、吹奏楽、室内楽、声楽曲など、演奏形式によっても分類されています。
■聞こえてきた曲が気になったらスマホの「曲を検索」で調べてみよう
先の通り、広大かつ細かくジャンル分けされているクラシック。時代や作家、演奏家を調べながら、自分のお気に入りを探していくのは意外と大変かもしれません。
ただ、クラシックはさまざまなシーンで使われているので、タイトルは知らなくても、メロディに聞き覚えのある曲なども多いものです。そこでおすすめなのが、スマートフォンの「知らない曲を検索する」機能やアプリです。気になる曲が聞こえてきたときにスマホのマイクを使って曲を聞き取らせると、曲名や演奏家などをサジェストしてもらえます(詳しい使い方はOSやアプリによって異なります)。こうして気になった曲の情報を並べると、自分の好きな時代や演奏形式の傾向が見えてきますし、さらに突き詰めると作曲家や演奏家などの好みも掴めるでしょう。
シーン別おすすめ1:「1日のストレスから解放される夜の自由時間」
ここからは、秋の夜長のクラシック鑑賞におすすめしたい曲やジャンルを、シーン別にご紹介しましょう。曲そのものはもちろん、お気に入りを探すきっかけとしてもぜひ活用してくださいね。まずは、食後のひとときやお風呂上がりなど、夜の自由時間におすすめのゆったりと心地良い曲たちです。
■ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
「ボレロ」で有名なフランスの作曲家・ラヴェルによる、ゆったりと流れるようなメロディが印象的な曲。1899年の作品ですが、17世紀のスペイン王女マルガリータの肖像画にインスピレーションを受けて作曲されたもので、ラヴェルの母の故郷でもあるスペインへの郷愁が表現されていると言われています。ちなみに「パヴァーヌ」というのは宮廷舞踊(舞曲)の一種です。当初はピアノ曲として発表されましたが、後年ラヴェル自身が管弦楽用の編曲も手掛けていて、現在もさまざまな楽器で演奏されています。
シーン別おすすめ2:「帰宅などの移動中や家での作業のお供に」
クラシックの中でも現代音楽と呼ばれるジャンルでは、シンセサイザーなどの電子楽器がよく用いられます。こちらでおすすめするのは、クラシックの中でも現代に生まれた「ジャンル」のひとつです。
■現代の風景にマッチする「ポスト・クラシカル」
現代的なサウンドと伝統的なクラシックを融合した「ポスト・クラシカル(ネオクラシック)」は、聴き慣れたポップスや映画のサウンドトラックのような雰囲気で、よりカジュアルにクラシック音楽に触れることができるジャンルです。有名曲を現代的なアレンジでカバーした作品なども多いですし、メロディより全体のサウンドにポイントを置いた環境音楽的な作品も多いので、移動や作業の際の「ながら聴き」にもマッチします。
シーン別おすすめ3:「ベッドに入る前に、ゆったりリラックス」
最後におすすめするのは、子守歌のようにやさしいメロディや音色を持った曲たちです。1日の終わりに、クラシック音楽で心を落ち着けてゆっくり眠りにつきましょう。
■ドビュッシー「月の光」
フランスの作曲家、ドビュッシーによるピアノ独奏曲集「ベルガマスク組曲」の第3曲。優しく切ない曲想で知られています。また、シンセサイザーでカバーされた本作品は、日本で開催された世界的なスポーツ大会の閉会式でも使用されました。「夜想曲(ノクターン)」と呼ばれる夜をテーマにしたピアノ曲でもありますから、「月の光」が気に入ったら、この「夜想曲」をヒントにお気に入りの曲を探してみても良いかもしれません。
また、クラシック音楽には心地良さ、リラックス、さらには集中力アップももたらすとされる「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」があると言われています。感情を揺さぶるようなダイナミックで盛り上がる曲ではなく、落ち着いたタイプのこのあたりの楽曲は癒やし効果をもたらしてくれるかもしれません。
そのほか、「1/fゆらぎ」の取り入れ方は以下の記事もご覧ください!
今回は秋の夜長に聴きたい曲の中でも、メロディを聞けばピンとくるであろう、さまざまな場面で耳にする有名な曲たちを中心にご紹介しました。これをきっかけに、ぜひ冬にも春にも、もちろん夏にも愛聴したいお気に入りの曲や音楽家を見つけてみてくださいね!