ポジティブな場面でより感じの良い印象を残すために……
まずは、ポジティブな場面でお相手が喜んでくださる言葉づかいをご紹介していきましょう。
■いただきものへの感謝の気持ち、「うれしい」、「おいしい」+αで
「ありがとうございます」は当然として、持ち帰る品なら「うれしい」、その場で食べる、試せる品なら「おいしい、素敵、良い」……までは思いつきますが、もう一言となるとちょっと迷いがちです。
もし新商品や、行列に並んだり予約して買ったりするような品なら「珍しいものをありがとうございます!」として、入手しづらい品を選んでくれたことにも感謝してみましょう。
逆に、どこでも買える定番の品でも「好物なんです!」、「みんな喜びます!」と一言添えることで、お相手の顔を立てられます。シーズナルな品なら「もうそんな時期なのですね」、「いまが一番旬の時期ですね」と、季節を感じるきっかけになったことを伝えてみるのも良いですね。
■目上の方を褒める時は「相手を評価しない」ように気をつけて
目上の方を褒める際に使いがちな「なるほど」、「さすが」、「素晴らしい」は、厳密には相手の上に立って評価する言葉ですから、丁寧な言い方でもちょっと微妙なところ。とはいえ、実際にはよく使われている表現ですので、あからさまな他意がなければそれほど気にしなくても良いでしょう。ただこんな時、代わりに「感銘を受けました」、「勉強させていただきました」など自分主体の言い方ができると、より安心です。
■褒められた時は、自虐に走らず「お礼の言葉+おかげさま」で
褒められ慣れていないと、つい謙遜して「私なんか……」と自分を下げてしまいがちですが、これはお相手の良い評価も無下にすることになり、ベストとは言えません。ここはサラッとお礼を述べつつ「みなさんに教えて(助けて、応援して)もらったおかげです」、「(お相手)さんみたいになりたくて頑張りました」など、周りのおかげであることを伝えて感謝するのがおすすめです。もし、“おかげさま”にすると白々しくなるような場面なら、「うれしいお言葉、ありがとうございます!」などと、素直に伝えると良いかもしれません。
ネガティブな場面を感じ良く切り抜ける日本語は?
続いては、ネガティブな場面もなるべく穏やかに切り抜けるための言葉づかいをご紹介していきましょう。
■印象の柔らかくなる「断り言葉」を覚えておこう
飲み物のお代わりなどを「要りません」という意味で伝える「大丈夫です」という言い方は誤用とする向きもありますが、いまでは定着しつつあります。ただ、大人度をアップさせるなら、サッと「結構です」、「十分いただきました」といった言葉が出るようにしたいところです。
誘いなどを「行きません」や「やりません」と伝える場合も、直接的な言葉ではなく、「立て込んでいるので遠慮します」、「体調が芳しくないので控えておきます」といった表現でやんわり伝えると、角が立ちにくくなります。
さらに気を使うのが「できません」の伝え方です。まずは「あいにく~(理由)」と、「残念ですが~(理由)」といった表現で「応じたい気持ちはあるが都合が悪い」様子を伝えて察してもらうのが良いでしょう。
「お断りします」は言葉こそ丁寧ですが、強い拒絶の印象を与えやすい表現です。はっきり伝えなければならない場面以外では避けたほうが良いでしょう。ビジネスでのやりとりなら「いたしかねます」を上手に使えると、丁寧に、なおかつしっかりと「できない」ことを伝えられます。
■相手のネガティブ発言、どうフォローする?
お相手が「うるさくて申し訳ない」、「散らかっていてお恥ずかしい」などと謙遜されると「そんなことないです」と否定してしまいがちですが、ここで「賑やかなのも気兼ねなくて良いですね」、「毎日お忙しいのに、むしろきれいにされていると思います」など「良いとこ探し」をしてフォローできると、より場が和むはずです。
仕事などでかけていただく「無理をさせてしまった」といった言葉もまた、「そんなことないです」と返してしまいますが、実際は無理をしていて、あまり頻繁にあると困るような状況なら「ほかでもない(お相手)さんの一大事ですから」といった形で、お相手を立てつつ「今回は特別ですよ」ということも伝えられると良いでしょう。
お相手が悪口やよくない評価を口にした時、自分はそう思っていなくても、気を使って同調してしまう。これもあまりおすすめできない態度です。重要な事柄であれば「私はそうは思いません」と意思表示しなければなりませんが、場の雰囲気を損ないたくない雑談などであれば、お相手の意見を否定するのではなく「(判断が)難しいですね」、「そういうものでしょうか」といった“結論を出さない”表現で中立を保つ方法もあります。
「正しい言葉づかい」はよく話題にのぼりますが、言葉づかいは徐々に変化していくものですから、厳密には「絶対的な正解」は存在しません。明らかな失礼にならない程度に気をつけつつ、お相手や周りの人のことを思いやって言葉を選ぶほうが「感じの良い日本語」になるはずです。まずはちょっとした会話から、ぜひあなたなりの「感じの良さ」を探してみてください。