ニット選びでよくある失敗とは?

手触りが良かったので試着せずに買ったニットが、実際に着てみたらチクチクして肌に合わなかった……あるいは、静電気が起こりやすいニットを着ていたら、肌荒れを起こしてしまった、などの経験をしたことはありませんか?
実は、ふんわり柔らかいニットでも、直接肌に触れることで刺激になり肌の負担になってしまうことがあるのです。
■ニットで痒くなる原因
冬は特に空気が冷たく乾燥しているうえに、エアコンなどの暖房器具でさらに乾燥が進みます。空気が乾燥していると肌の水分が奪われてしまい、肌のバリア機能が低下。バリア機能が低下すると、少しの刺激で痒みや赤みが出てピリピリしてしまいます。
また、年齢を重ねると、肌の弾力やハリの基となるコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚が薄くなっていくことも痒みの原因となります。紫外線や乾燥による刺激に弱くなった肌は、少しの刺激でも痒くなってしまうのです。
さらに、誤ったスキンケアも痒みの原因となります。自分の肌に合わない化粧品やシャンプーを使い続けたり、十分な紫外線対策や乾燥対策をせずに肌にダメージを与えてしまったりすると、皮膚が刺激に対して過敏な状態に……。その結果、顔だけではなく体も同じように、刺激によって痒みが発生してしまいます。
自分に合ったニット選びも重要ですが、そもそも乾燥を避け、自分に合ったお肌のお手入れをすることも、同じぐらい大事なポイントなのです。
ニットに使われる主な素材
みなさんはニットを選ぶ際、どのようなところをポイントに選んでいるでしょうか。ひと言でニットと言っても、素材はいろいろです。それぞれの素材の特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう
■天然繊維

ニットに使われている天然繊維は、主に3種類あります。
ウール
羊の毛を使った動物繊維です。繊維の細さによってランクが分かれており、繊維が細く高品質で知られる「メリノウール」は「メリノ種」の羊の毛を用いたもの。実は一般に流通しているウールの多くは「メリノウール」です。また、子羊の毛だけを使用した「ラムウール」はとても軽く肌触りも格別ですが、希少で高級な素材となります。この希少なラムウールはマフラーなどの小物に多く使われています。
ウールの良さは何と言っても、吸湿性に優れているのに撥水性(はっすいせい)にも長けている点です。さらに、羊の毛の特徴である縮れが、空気をたくさん含むことにより保温性を良くします。
カシミヤ
カシミヤヤギの毛を使った動物繊維です。軽くて肌触りが滑らかであることから、ニットの中でも高級品に分類されます。
ウールよりも細い繊維でできているため、とても柔らかく肌触りの良さに定評があり、ウールのニットがチクチク感じる方でも、カシミヤのニットなら安心して着ていただけます。さらに保温性・保湿性ともに優れています。
ただカシミヤは繊細な素材なので、長くキレイに着続けるためには、天然毛のブラシで丁寧にブラッシングしてお手入れをすることをおすすめします。
コットン
綿からできた植物繊維で、風合いが良く、さらっとした着心地が特徴です。ウールでチクチクしてしまう敏感肌の方や肌の弱い小さなお子さまでも着やすい素材。ほかの天然素材に比べて保温性は劣りますが、オールシーズン着ることができます。
シワになりやすい素材のため、アイロンを当てるなどの方法でお手入れしましょう。
■化学繊維

ニットに使用される化学繊維も、主に3種類があります。
アクリル
化学繊維を使ったニットの中でもシェアを大きく占めているのが、アクリル素材のニットです。ウールに似せて作られており、柔らかくてふっくらした肌触りが特徴。軽くて暖かく、通気性にも優れているので、オールシーズン着ることができます。またシワになりにくく、お手入れも簡単です。
ただ、吸水性や吸湿性はほかの繊維に比べて若干劣り、静電気が起きやすい、毛玉ができやすいなどのデメリットもあります。
レーヨン
シルクに似せて作られた繊維で、光沢感がありシルクのようなリッチな風合いが特徴です。
ウールやアクリルのような暖かさはありませんが、肌に直接触れてもチクチクせず、さらっとしていて快適に着ることができます。
ただし水には弱い素材なので、洗濯による生地の縮みには十分気をつける必要があります。
混紡素材
混紡素材は天然繊維と合成繊維の中から複数の素材を合わせたものです。ウール◯◯%・アクリル◯◯%などと表示されています。
複数の素材を合わせることで、それぞれの素材の良いとこ取りが可能に。
たとえば、洗濯しやすいアクリルに、質感と保湿性に優れたウールを混ぜることで、両方の良さを併せ持つ優れた生地を作ることができるのです。
肌に負担をかけないニット選びのポイント

ニットを楽しむためには、肌に負担をかけずに快適に着たいですよね!次は、肌に優しいニット選びのポイントについてご紹介します。
■天然繊維のものを選ぶ
ニットの素材の中でも、天然繊維のカシミヤやコットンは肌触りが良く静電気を起こしにくいため、ニットのチクチク感が苦手な方や乾燥しやすい方におすすめです。天然繊維は化学繊維に比べて吸湿性や吸水性に優れており、静電気が起きにくいのもポイントです。
■首回りがスッキリしたもの
インナーを着てニットと肌の接触を避けても、首やあごはどうしても直接ニットが触れてしまうもの。それが痒みの原因になるので、気になる方はタートルネックを避けて首回りがスッキリしたものを選びましょう。
■ローゲージよりハイゲージ
ざっくりと編んだローゲージニットは、繊維が太いため肌への刺激も大きくなってしまいます。反対に、繊維が細く網目がわからないほどに密になったハイゲージのニットは、肌触りが優しいことが特徴です。チクチクしにくいので、ハイゲージのニットを選ぶと良いでしょう。
■肌に優しいインナーを着る
ニットが直接肌に触れると、触れている部分が刺激になってしまいますが、ニットと肌の間にインナーを挟むことで、デリケートな肌を守ってくれます。またインナーを着ることで汗も吸収してくれるので、1日中快適に過ごすことができます。
■ボトムスの素材にも注意
洋服の摩擦による静電気も肌への刺激になります。ボトムスにアクリルや混紡素材のものを着用していると、ニットとの間に摩擦が起きて静電気が起こりやすくなり、それが肌への刺激につながります。ニットを着ると痒くなりやすい方や乾燥が気になる方は、ボトムスの素材選びにも注意してみてください。
これからの季節のおしゃれアイテムとして活躍するニット。ニットで快適におしゃれを楽しむためにも、今回ご紹介した素材選びのポイントを意識してみてくださいね。