きのこは低カロリー&食物繊維……だけではない!
きのこの健康効果というと、「低カロリー」「食物繊維でお通じをよくする」といった点がよく知られていますが、実はきのこにはほかにもさまざまな働きを持ったビタミン・ミネラルなどが含まれているのです。では、ひとつずつ見ていきましょう。
■パントテン酸
しいたけやえのき、しめじなどに豊富に含まれます。皮膚や髪を健やかにすることから、ヘアケア成分として耳にしたことがあるかもしれません。そのほかにも、善玉コレステロールを増やす働きも持っています。
■カリウム
しいたけやえのき、しめじ、エリンギなどに豊富に含まれ、デトックス効果の高いミネラルです。体内の余分な塩分を排出し、血圧の上昇を防ぐ役割に加えて、デトックス作用でむくみを改善するなどの働きもあります。
■ナイアシン
しいたけや舞茸、エリンギなどに豊富に含まれ、血行を促して冷え性を防いだり、皮膚や粘膜を健やかに保つなどの働きがあります。
■ビタミンB1
舞茸やエリンギなどに豊富に含まれ、栄養素をエネルギーに作り変え、疲労回復を助ける働きがあります。
■ビタミンB2
舞茸やエリンギなどに豊富に含まれ、脳の活性化を促すグルタミン酸の吸収率を高めます。
■ビオチン
しいたけ、舞茸などに豊富に含まれ、エネルギーを作り出す助けとなったり、肌や爪を健やかに保ち、白髪や抜け毛を防いだりする働きがあります。
■エリタデニン
特にしいたけに多く含まれ、血中の悪玉コレステロール値を下げる、血圧を下げるなど、生活習慣病を防ぐ働きのある成分です。
■ビタミンD
しいたけや舞茸に豊富に含まれ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
■ポリアミン
しいたけに豊富に含まれ、血管を健やかにする働きがあります。
このように、きのこには健康的な髪や肌を作る成分や、血管・血液を健やかに保つ成分などが多く見られます。ほかにも、たとえばなめこの独特のぬめり成分が血糖値の上昇を穏やかにするなど、きのこの種類によってもさまざまな栄養素を含んでいるのです。
もちろん食物繊維も重要なポイント
「低カロリー&食物繊維だけじゃない」とはいうものの、もちろんこの2つも重要なポイントです。食物繊維には、水溶性のものと、水に溶けない不溶性のものがありますが、きのこの食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」。胃や腸で水分を含んでふくらみ、腸を刺激するのでお通じをよくする効果が高いのです。
また、水溶性・不溶性を問わず、食物繊維には大腸内でビフィズス菌などの善玉菌により発酵・分解される、いわば善玉菌のエサになる働きもあります。腸内環境を整える、いわゆる腸活のためにも一役買っているというわけです。
きのこのおすすめの食べ方は?
■汁もの、特におみそ汁は相乗効果が高い!
パントテン酸やカリウム、ナイアシン、ビオチン、ビタミンB群は水溶性なので、茹でるとゆで汁に溶け出してしまいます。汁ごと食べるメニューなら、こうした栄養素も逃さずに摂れるのでおすすめです。
特におみそ汁は、乳酸菌が腸活に役立つだけでなく、ビタミンB1が味噌に含まれるグルタミン酸の吸収を助けたり、ビタミンDが味噌に含まれるカルシウムの吸収を助けたりと、さまざまな相乗効果が期待できます。
■納豆やキムチなど発酵食品と組み合わせて
きのこの食物繊維は善玉菌のエサになりますから、善玉菌を含む発酵食品とあわせて食べることで腸活効果も高まります。納豆やキムチ、チーズなどは、メニューに直接加えても、小鉢などで添えてもいいので取り入れやすいでしょう。
■干しきのこで栄養価アップ!
干ししいたけは昔からよく使われている食材ですが、実は保存が利くだけでなく、栄養面でもとても良い素材です。きのこは天日に干すことでうまみが増し、ビタミンDの含有量も数倍に増えるのです。ちなみに、戻し汁には栄養やうまみが溶け出しているので、そのまま調理に使うのがおすすめです。
今回ご紹介したように、きのこにはさまざまな栄養素が豊富に含まれている食材なのです。「食欲の秋」を健康的に過ごすために、さまざまなきのこを食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。